★ 新入部員獲得大作戦 後編 原作:Fujjy(38期生)
クラブ見学当日、すでに投げる役と投げられる役とを決めて、我々は今か今かと一年生の来訪を待っていた。 「き、来ましたっ〜!」 格技場から十数メートル離れて待機していた斥候があわただしく駆け込んできた。
「よ〜し!乱取り始め!」 バアアアアァァァァァ〜〜〜ン!! 一年生の集団の先頭が格技場に足を踏み入れた時、我々自身も普段耳にしないような凄まじい畳の音であった。 「よ〜し!こ〜い!」 「おりゃ〜!」 乱取り中もよく声が出ていて、活気溢れる光景だ。 (なるほど台本通りとはいえ、みんな大した役者ぶりだな。) 迫力ある高校部活を初めて見て、呆然と見つめる一年生も多くいる。 (やったぞ、参謀Fujjy。作戦は見事に成功だ。) あとは一年生の集団が無事格技場を離れるまで、我々はこれを続けるのみである。
「行きました〜!」 一年生が格技場から全て立ち去った時、斥候は報告した。 「よ〜し、休憩!」 (みんなよくやった。しかし、あと9回同じことをやるのだから最後までくじけるんじゃないぞ。)
「次、来ましたっ〜!」 「よ〜し!乱取り始め!」 次のクラスも、またその次も、我々は彼らの度肝を抜いてやった。 (参謀Fujjyよ、どうやらこれでキミの“多くの新入部員を獲得して、我が部を躍進させたい”という願いは叶いそうだ・・・。) 乱取り途中に、ふとFujjyにねぎらいと感謝の視線を送ろうとした時、私は思わず目を疑った。 「ねえキミ、マネージャーになってもらえないかな〜」 なんと!いつの間にかFujjyは乱取りの輪からはずれて、女子一年生に声をかけ続けているではないか! (Fujjy!キミの願いは部員の獲得ではなくて女子マネージャーの獲得だったのか?!)
私は目の前が真っ暗になった。
結果から言えば、その年の新入部員は過去三年間で最高の数となった。 Fujjyの進言した作戦により、我々は目標を達成することはできたのだ。 そういう意味では動機はともかく、Fujjyには素直に敬意を表す。 しかし、我々がさらに驚愕し、さらに敬意を表したことは、女子マネージャーの入部数も過去最高だったということだった。
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