噂の真相 no.4

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★ 技術編

柔道の技がかかる瞬間は相手がバランスを崩した時であるのは言うまでもない。
だが例外として、お互いの実力もしくは体力差があまりに離れている場合はその限りではない。
一番顕著な例が、昇段試験における初段の部である。
初段を取るためにきた面々を見れば一目瞭然である。
皆、白帯ではあるが年齢から体力から様々である。
当社が実施した出口調査によると白帯同士で対戦するに一番の難敵は誰かと問うとやはり「警察学校生」だった。
初段を受験しに来る割合が最も多いのは中学生である。
成長途中の中学生が、彼らにすればほとんどおっさんの警察学校生に勝つのは至難だ。
その差は技術的なものではなく、当然体力的なものが占める。
つまり柔道で手っ取り早く勝つには「体力=腕力」をまず身に付けることだ。
私はこの「それでも地球は回る」と同じくらいの至言を中学のときに悟り、高校で実践することにした。

我が柔道部の練習メニューの締めくくりとして「補強」というものがある。
いわゆる筋トレだが、それは「腕立て」「腹筋」「スクワット」をそれぞれ100ずつこなす。
いずれも柔道に限らず大事な基礎体力作りだが、私はあえて「腕立て」だけをした。
「腕立て」を毎日300回したのだ。
もともと筋肉質だった私の上半身は、みるみるランボーのごとき体型と変わっていく。
腕の太さに合う柔道着がない状態になった。(漫画の読み過ぎ)

ここまでくればすでに技術的なものを超えている。
我が柔道部員は小柄な者が多く、当時中量級(71kg以下)の私が部内では大きいほうで、なおさら力技となる。

私の得意技は釣り手一本背負い(説明が複雑なため割愛)と払い巻き込みだった。
払い巻き込みは払い腰の巻き込みだ。(そのまんま)
投げた後に相手に巻き込むように圧し掛かる危険技で下手に抵抗すれば怪我をする。
部員の誰もがその危険技をもろに食らわないためにあえて抵抗せず投げられていく。
私は部内最強と自負していたが、実は皆、怪我をしたくないために投げられていただけかもしれない。
いや、一人抵抗した命知らずもいた。
39期主将(実行部隊隊長)だ。
その時の真相は彼に聞かなければ分からないが、なぜ他の部員同様うまく投げられなかったのか・・・?
運悪くその日は畳を新調したばかりでアスファルトのように硬かった。
そんな不運も重なり、彼は鎖骨骨折で病院送りとなった。

許せよ、強すぎた私がいけないのだ。
抵抗したお前も悪いのだ。

決して口では言わなかったが、そんな態度が15年たった今でも密かに復讐の機会を待つ隊長の恨みの原因であろう。

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