★ 会長:大学部活編 第五話
一列横隊に並ぶ三、四回生に向かい合うように、我々新入生も同じように一列に並んだ。 三、四回生の手にはそれぞれビール瓶、我々の手には空のグラス。 (これは先輩が手ずから新入生に酌をしてくれるのか?) 事前にされた二回生のルール説明を聞き逃していたワシは、この儀式にひたすら感動していた。
「では一番端のキミ、一歩前へ!」 (ワシ?あ、隅で飲んでたから列の一番端だったのか?) ワシは言われるまま前に出ると、目の前の先輩が、 「俺の名前を言ってみろ」 (なに?え〜と、ジャギ様と答えればいいのか・・・?) 「言えないのか?俺は三回生の○○だ。ではコップを出せ」 三回生はワシのコップをビールで満たし、すぐに飲み干すように言った。 そして、隣の先輩の前に立たされた。 先輩Bは先ほどの先輩Aと同じ台詞を言った。 「俺の名前を言ってみろ」 (え〜と、今度はケンシロウ様かな・・・?) 沈黙するワシに先輩Bは時間切れの合図もなしにビールを注ぐ。
(こ、これは・・・) そうだ。 これは、新入生が体を張って三、四回生の名前を覚えるまさしく男社会の儀式だったのだ。 (ま、まずい。このままでは先輩全員から酌をされるぞ。) 思えば、この儀式前に二回生が三、四回生の紹介をしていたのを、真面目に聞いていなかったワシの自業自得だが、 と言って高校時代に柔道部で鍛えられた不屈の根性を持つワシが、たかが文科系のこんな儀式で潰されるわけにはいかない。 (例え全員の名前が言えなくとも、ビール20杯程度。他愛もないわ〜!) と心の中で勝ち誇っていたが、ふと見ると先輩Jあたりの人は角瓶を持っているではないか! (なぬっ〜!) よくよく見ると、さらに先の先輩達全員が思い思いの酒を持っている。 (は、話が違〜う!) おそらく先輩Jあたりから四回生なのだろう。 (さすが、文科系クラブの頂点に立つ大学祭実行委員会・・・。あの高校時代のシゴキに耐えぬいた、ワシの心が折れそうや・・・) そんなワシの気持ちを知ってか知らずか、先輩Cは楽しそうに言った。 「俺の名前を言ってみろ」
続く・・・のか?
一覧に戻る 前に戻る
|